寄贈文庫収蔵室
地域を代表する法律家のお一人である沼田稲次郎氏の他、夭折された本学の先生方の御功績と人物、寄贈図書等を紹介する寄贈文庫収蔵室を整備し、学長以下教職員各位から御提供頂いた資料や評伝等も配置し、地域と本学の法学教育・研究の先人の方々の遺徳と識見に触れる環境を整えています。
沼田稲次郎文庫
沼田文庫は、谷口貴都元法学部長(法学博士、2011年9月逝去)の発案であり、本学の所在地「高岡」が生んだ大法学者沼田稲次郎先生の文庫を作りたい、ということであった。前後して沼田先生の親戚の方から大量の文献が寄贈され、末端弟子の私も憑かれたように所蔵物すべてを差し出した、ことに始まる。
沼田先生のご業績、ご経歴は別途掲示のとおりである。先生は確固たる沼田労働法学を、第2次世界大戦後、日本が明るい自由な世界へ解放される中で、いち早く形成された。そして、労働法学会のみならず、終生、平和と反戦の論陣を張るととともに、厳しく激しい世界である労働運動、民主主義運動の分野においても大きな指導力を発揮された。その多忙な中での、多岐にわたる著作物の創出力には、驚嘆畏敬のほかない。(千々岩力学長「文庫の経緯と沼田先生のお人柄」より)
文庫は、ご親族や関係者から寄贈いただいた沼田先生の蔵書、先生の著書、論文などで構成されています。また、先生の直筆の書なども展示されています。
・沼田文庫目録(PDF)
沼田稲次郎先生の略歴
大正 3年(1914)5月25日 富山県高岡市で出生
昭和 9年(1934)第四高等学校(現金沢大学)文科甲類 卒業
昭和13年(1938)京都帝国大学(現京都大学)法学部卒業
昭和14年(1939)陸軍富山第 35 聯隊補充隊 入営
昭和15年(1940)北支派遣・独立混成部第 1 旅団第 72 大隊に転属、陸軍少尉
昭和20年(1945)金沢東部第48部隊・陸軍大尉、戦後復員除隊
昭和21年(1946)夕刊京都新聞に入社、論説委員・労働組合委員長をしながら労働法に関する著作を出版
昭和26年(1951)東京学芸大教授に就任
昭和27年(1952)東京都立大学教授(人文学部)に就任。
昭和37年~38年(1962~1963)旧西ドイツ、ケルン大学に留学。
昭和40年(1965)東京都立大学法経学部長に就任。
昭和41年(1966)東京都立大学初代法学部長に就任
昭和48年(1973)東京都立大学総長に就任(~81年3月、2期8年)。
昭和51年(1976)『沼田稲次郎著作集・全10巻』を労働旬報社より出版。
昭和56年(1981)東京都立大学退官、東京都立大学名誉教授。
平成 9年(1997)5月16日死去。享年82歳。